マイナー・史跡巡り: 宇治橋 ~源平合戦と源氏物語~ -->

月曜日

宇治橋 ~源平合戦と源氏物語~

 平家物語等で2回も大きな戦(いくさ)がこの橋をめぐり起きていますね。(写真①)

①宇治橋

1回目は平家打倒に立ち上がった以仁王と源頼政が、平家討伐に立ち上がり、平等院に立て籠もり、平知盛ら平家軍と戦う話。以仁王はここを脱出するも、南都に行く途中で殺されます。また頼政も平等院で自害。(写真②)

②平等院内扇の芝《頼政自刃箇所》

2回目は、平家を京都から追い出した木曽義仲と、義仲追討の後白河法皇の宣旨を携えて鎌倉から西上してきた源義経がこの橋の少し上流を挟んで対峙。(写真③)

③宇治橋付近にある戦陣争いの碑


義仲が橋を落としたので、宇治川を馬で渡り、対岸の敵への一番乗りを、名馬「磨墨」(するすみ)に乗った梶原景季と名馬「生唼」(いけづき、池月書かれた史料もあり)に乗った佐々木高綱が競います。両名馬とも頼朝のものなのですけどね笑(絵④)
勝負の結果は、拙著ブログ「頼朝と愉快でもない(?)仲間たち ~三浦一族番外編~」をお読みいただければ幸いです。実はこの生唼」のお墓は新横浜の車の往来は多く、私も何度も前を通っていますが、誰も気づかれないところに祀ってあることも書かれていますよ。佐々木高綱の屋敷もすぐ近くです。(写真⑤)

④宇治川先陣争ノ図(画:歌川豊宣)

この2つの合戦、共通するのは宇治川の流れの速さですね。知盛らは馬筏というやり方で、兵馬が急流に流されないように工夫しますし、一番乗りを競う梶原景季と佐々木高綱も急流に翻弄され頑張るのです。

写真①からも、現代は流量が少なくなったとは言え、結構流量があるのが分かると思います。

更に今回この橋をご紹介するのは、源氏物語です。(写真⑤)

⑤宇治橋の袂にある紫式部像


源氏物語の舞台と言えば、現在の京都御所を中心とした、数km以内の世界との認識でいたのですが、昨年の1月にこの宇治橋に来ると、橋の袂に紫式部の石像があり、宇治十帖という光源氏ではない薫という男を主人公とした物語があるとのこと。(写真⑥)
⑥源氏物語・宇治十帖の像
(薫と浮舟?)


ん?まあ源氏物語の外伝的なものかな?くらいにその時は思っていたのですが、私的には光源氏が「やんややんや」と持ち上げられる前半に比べて、後半のこちらの方が、筋が通っていて面白く感じます。

また、宇治という場所がこの当時は相当な田舎という舞台設定にも驚きました。

つい最近、大きな試練を乗り越えて、京アニが完結させたアニメ「響け!ユーフォニアム」。今の高校生の日常的な青春を描いたものですが、やはりこの橋のある風景を舞台とした日本人の生き方を描いた作品としては、源氏物語、平家物語に決して引けを取らない立派なものですね。(絵⑦)

⑦京アニの「響け!ユーフォニアム」の舞台も宇治

宇治橋を中心にした宇治川の岸辺で何度も見る白鷺(写真⑧)。数々の人間ドラマを生み出してきたこの場所に、源頼政等、過去の人たちの生まれ変わりとして、この白鷺が降臨して私たちを見守ってくれているといいなあ、なんて子供のような事を思いながら、この地を後にしました。

⑧宇治川の白鷺

ご精読ありがとうございました。

【宇治橋】〒611-0021 京都府宇治市宇治